ドローン、アンビエント。レイキャビク(アイスランド)のフリキルチャン教会で録音されたという美しくも退廃的な音像。暗闇の中で聴くと、どこかに連れて行かれてしまう気すらする。パイプオルガンのフィードバックノイズがその世界観を強固にし、近づいたり遠のいたりするアコースティックピアノが現実との唯一のつながりのように美しく、鳴る。
一聴すると難解に思われるが、聴き手が主体的に音の展開を探すことにより、作品が親密に語りかけ、自身と溶け合っていく感覚を覚える。愛情と慈しみを持って拾い上げられた音の断片は、大胆かつ丁寧なエディットで増幅され、緻密に練り上げられた物語を展開する。偶然の重なりによる不安感と、巡り合うべき音との邂逅。見ようとしなければ見つからないものがある。そんなことを思わずにいられない。あらゆる場所に存在するノイズよ、安らかに眠れ。
メトロで体感した爆音でのライブは、ヤバかった!
WWW & night cruising present「Tim Hecker Japan Tour 2013 in KYOTO
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Text: 小佐直寛(Naohiro Kosa)