文章のBPM
本を読むことは好きな方ですが、純文学となると少し苦手意識がありました。
それはきっと、言葉の一つ一つを味わって読み進めていくという読書スタイルに慣れていなかったからだと思うのです。夏目漱石やドストエフスキーの作品は、何度か読もうとしたことはあったものの、自分の読解力の不十分さがありありと分かってしまってつい、投げ出してしまうことがほとんど。けれど、読み進められなかった理由が自分の能力にあるだけに、ずっと心残りがある分野でした。そんなわけで、何度目かの「白痴(ドストエフスキー)」に取り組んでいます。こんどは、望月哲男さんの新訳(河出文庫)。
文庫本は三冊に分かれていて、いまは、二冊目の途中です。望月哲男さんの翻訳が読みやすく、一文一文を丁寧に読み進めていくと、次第にリズムを掴んで物語を楽しめるようになってきました。しめしめ。
一冊目の最後のページに達した時は、「おぉ、はじめてここまで来た」と思いました。この数年間で幾度となく最初の50ページばかりを繰り返し読んできことを思いかえすと、けっこう嬉しかったわけです。
自分に合う翻訳というものがあるのだろうな。サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」も、野崎孝さん翻訳と、村上春樹さん新訳、の両方を読んでいるけど、村上春樹さん翻訳の方が現代的な言い回しで親しみやすい印象でした。
思うのは、あらためてテンポって大事だなと。物語も、文章のテンポがめちゃくちゃ大事で、物語内の展開に合わせて、音楽で言うところのBPMが意図的に変えられているんだということに気がついた次第です。
言葉はイメージを産み、イメージは音を吐き出す
「白痴」を読んでいると、幾度となく頭の中で音楽が鳴っていました。ふだんの生活の中で、ふっと、頭の中で音楽が鳴り出すということがありますよね。あれは、何かと結びつけて理解しようとしている行為なのかな。なんだろう?ひとの脳の中ではどうなっているんでしょうか。もういちどオリヴァー・サックス先生の「音楽嗜好症(ミュージコフィリア)」を読んでみようかな。
「白痴」に登場する人物は皆んなどこか冷静に狂ってる。曲のタイトルは、物語に出てくるセリフをそのまま拝借したものです。
・メインの楽器にカリンバを使用しています。
使用したのは、カリンバ・メーカーとして信頼のある”ヒュー・トレイシー”のTrebleC17Note。こちらは京都寺町の民族楽器コイズミさんで購入したものです。そして、そのカリンバ音源(単音)をシェアさせてもらいます。Ableton Live の Drum Rack に割り当てるなどして活用してください。
音源Packダウンロードは、下のGoogle Driveへ
Text: Music: 小佐直寛(Naohiro Kosa)