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昼の家、夜の家 オルガ・トカルチュク/小椋 彩 [訳]

なぜこの本がここにあるのかわからない。どこで買ってきたのかも覚えていない。誰かに薦められたのか。それとも、書評欄で見かけて気になったのか。物語はキノコを中心に進んでいく。食べられるのかわからないレシピも登場する。読み終わった後、しばらくするとどんな物語だったか思い出せない。重要な場面では必ずキノコが出てきていたということだけは鮮明に覚えているのだが。

『日常が歴史と、現在が過去と 溶けあう国境の町。
記憶を紡ぐ、語りの魔術。』

万物は常に流れ動いていて、人は生よりも死に近い。しかし、そんな世界を提示しながら、小説に暗さはなく、むしろ軽やかな雰囲気が漂う。それは、多様な世界や人間に対して向けられる、作者自身の優しい眼差しのためだろう。本作ではキノコが重要モチーフとなっているが、動物でも植物でもなく、死んだものの上に命を紡ぐこの菌類を、世界に曖昧さや多様性を認める、こうした寛大さのシンボルと捉えられるかもしれない。
(「訳者あとがき」より)

読んでいる最中、「ふわふわ」と気持ちのよい本です。他にはなかなか無い本だと思います。

キノコというモチーフが持つイメージの一つに「トリップ」があることも関係しているのか、独特の高揚感を持って読み進められる物語です。

感想:

不思議で魅力ある「きのこの本」


Text : 小佐直寛(Naohiro Kosa)

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